【アーカイブ】-甲野善紀×江本伸悟- 「言葉の意味を生成する」これからの教育ゼミ
4,400円
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下記に開催したアーカイブになります。
話された内容の目次です。
・健康の歴史、「健やか」から「健康」へ
・内から感じる体、外から見られる身体
・日本人の身体をシンクロさせたラジオ体操
・「客観性」が人の体を一元化するとき
・「客観性」が人の思考を停止させるとき
・科学への疑いこそが、科学の信頼を支えている
・人間の運命は完璧に決まっていて、同時に完璧に自由である
・おのずからの偶然をみずからの必然として生きた妙好人
・病と霊性、狐憑きのお祓い
・死者との共生、所作としての祈り
・物語られる世界から、数えられる世界へ
・言葉とともに生き、物語り、言葉のふくらみを取りもどす
※決済後、ゼミ受講ガイドのPDFファイルがダウンロード出来ます。
ガイドに記載されているリンクから登録、視聴ください。
◆日時10月27日(金)19:00-21:00
武術研究者甲野善紀先生をホストに
ゲストをお招きして開催するこれからの教育ゼミ
今回のゲストは江本伸悟先生(学者 私塾松葉舎を主宰)
対談にあてて江本先生からメッセージを頂いています。
ー近年、言葉の生成が加速していることを感じます。
新型コロナウイルスの流行下では、感染症対策のためとして人と人の出会いが抑制され、その捌け口を求めるように、SNSで体なき言葉が交わされる機会が増えていったように思います。また、今年に入ってからはChatGPTを代表とした大規模言語モデルが世間にも広まり、体なき機械が人間に追いつけないほどの速度で言葉を生成するようになりました。
人と機械が体を置き去りにして、かつてない速さで「言葉を生成する」時代にあって、言葉は使われれば使われるほどにその意味をすり減らし、それとともに、言葉とともにある私たちの人生そのものが目方を失って、軽く浮き上がっていくような感覚を覚えています。
「人間の運命は完璧に決まっていて、同時に完璧に自由である」
光量子仮説と百丈野弧の公案からこちらの言葉への理論的な確信を得て以来、この言葉に対する体の実感を深めるべく武術探求に邁進されてきた甲野先生の生き様は、昨今の流れとは対極にあるものかと思います。この言葉は、論理の上では矛盾を抱える、意味のひび割れた言葉のようにも思えますが、だからこそ、そこには人がこの言葉とともに生きる隙間が広がっていて、その人の生き様を通じて、そこに新たな意味が充填されていくのでしょう。
言葉は、誰かに生きられることによって、その意味を獲得していく。
人は、言葉とともに生きることによって、その意味を生成していく。
科学の世界ではそれとは逆に、機械的測定や統計的解析を通じて、言葉から人を抜き去っていくことが目指されています。科学の世界に身をおいていた私は、人という軛を脱して自由に羽ばたいていく科学の言葉に、ある種の開放感を感じてきたのですが、同時に、そうして人との結びつきを断って、客観・普遍的なものとして流通する科学の言葉には、昨今のSNS、ChatGPTにあふれる言葉と通底するところがあるようにも感じています。
自らの体で言葉の重みを感じること。自らの人生をかけて「言葉の意味を生成する」こと。そのようなことが、「これからの教育」において持つ意義について、先生と一緒に考えていきたいと思っています。ー江本伸悟
ゲストプロフィール 江本伸悟
https://www.shingoemoto.com/
学者。1985年、山口県下関市に生まれる。2014年、東京大学大学院にて渦の物理を研究、博士号(科学)を取得。日本物理学会にて学生優秀発表賞(領域2)受賞。2017年、自分独りでは想えない不思議を想い、感じられない美しさを感じ、考えられない物事を考えるための場所として、私塾・松葉舎(しょうようしゃ)を立ち上げる。科学、数学、哲学、芸術、芸能、武術、ファッション、ダンスなど、分野を横断したコミュニティのなかで心と体と命の探求を続けている